美谷島邦子(日航機墜落事故遺族)の絵本「けんちゃんのもみの木」が泣ける!いせひでこが描く御巣鷹山の母子の愛

4.事故から35年…美谷島邦子・いせひでこの出会いと絵本「けんちゃんのもみの木」の誕生

事故から35年の月日を経て

この世に生まれたのが表題の絵本

「けんちゃんのもみの木」!

けんちゃんのもみの木

出典:Amazon

そもそものきっかけは

美谷島邦子さんもかかさず

参加されている8月12日の

御巣鷹山慰霊登山

絵本の挿絵を描かれた

いせひでこさんは、夫であり

この登山に毎年参加されている

ノンフィクション作家・

柳田邦男さんに連れられて、

2015年8月12日初めて参加。

そこで美谷島邦子さんと出会うのね。

美谷島さんの方から

「一緒に絵本を作りませんか」と

声をかけたみたいだけれど、

最初は「遺族でない私には無理」と

断ったいせさん。

だけど、様々な風景をスケッチする中で、

そのすべてに美谷島健くんの人生を

感じるようになったいせさんは、

2017年から美谷島さんの著した詩や文、

健くんの遺品を受けとめながら

絵を描いていったそうよ。

素材・絵筆

こうして、お二人の想いが、

そして様々な人の想いが

重なり合うようにして

「けんちゃんのもみの木」

2020年10月が誕生!!

子どもを突然失ってしまった

母親の悲しみと再生の物語は、

日航機墜落事故の悲劇を伝えると共に、

様々な形で愛する人を失った

多くの人々の悲しみに寄り添う、

グリーフケアの絵本として

静かに注目を浴びているわ。

特に、このコロナ禍で、

「さようなら」も言えずに突然

愛する人と別れることになり、

普通の別離以上の喪失感に

苛まれる人も多い中、

この本に綴られた言葉と優しい絵は

そんな悲しみにも優しく

寄り添っていてくれるのね。

5.美谷島邦子絵本「けんちゃんのもみの木」感想。いせひでこが描く母子の愛が泣ける!

「あの日 たくさんの星が おすたか山にふった」

出典:けんちゃんのもみの木

この本の感想を書くのは

正直、凄く難しいわ…。

ご遺族の悲しみ、

健ちゃんへの想い…

それに触れて涙がこぼれるけれど、

35年という月日の中で

美谷島邦子さんが抱えてきたことに

想いを馳せると、

自分の言葉では何ひとつ

表現することができないのね…。

タイトルにある「もみの木」とは、

「星になった息子が、空から見えるように」

父親の善昭さんが現場の森に植えたものだそう。

きみはどこにいるの? どこにきえたの?

どの星なの? みつけたい さがしたい

きみのところに いきたい

「息子に会いに…」

くる年もくる年も御巣鷹山に

登る母・邦子さん。

その悲しみを聞き、悲しみに寄りそい、

最初は30cmくらいだった木は、

35年で空にとどくような高さになっていく…。

そして「母」は、

「けんちゃん」の声を聴くの。

「ただいま」の声がした

「お母さん、どこにいっていたの?

ぼくは ここにいるよ

ずっと9さいだよ

お父さん お母さんと いまもいっしょ」

出典:けんちゃんのもみの木

素材・光・スポットライト

御巣鷹山に登り、

健ちゃんの姿を探す美谷島邦子さん。

でも、途中から

「迷子になっているのは、私かも?」

思うようになったとのこと。

大切な人を失った人であれば、

多かれ少なかれ誰もがこういう

経験をしたことがあるんじゃないかしら?

愛しい人の姿を求めて、

色んなところに心を寄せるけれど

見つからない…。

本当は、ずっと、

すぐそばにいてくれているのに…。

「ぼくはここにいるよ」という言葉は、

この絵本を書いていた最後の頃に、

邦子さんに聞こえてきた声だそう。

その存在を、確かに感じて

抱きしめることが出来た母親の姿に、

自分が体験した過去の喪失を重ねて

やっぱり泣いてしまうのね…。

特筆すべきは、やっぱり

いせひでこさんの絵の力!!

いせひでこさんというと、

個人的には「ルリユールおじさん」の

優しい世界観が大好きなんだけど、

ルリユールおじさん

出典:Amazon

この作品でも、何とも言えない、

現実と夢の世界を繋ぐような筆致と色彩が、

心を不思議な領域に誘うのね。

この柔らかく包み込むような、

それでいて命に溢れ輝くような

優しい色彩の水彩画が

心に沁みる…(*T^T)

この作品は、この絵でなければ

ならなかった…と強く思うのね。

此岸と彼岸‥

こっちの世界と、あっちの世界を、

ゆるやかに繋いだ「あわいの世界」が

この絵本の中にあるようで、

悲しみと共に、深い癒しを感じるのね。

読み終わった後は、なぜか

「ありがとう」という気持ちで

いっぱいになったアフロよ。

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6.美谷島邦子・いせひでこ「けんちゃんのもみの木」絵本誕生秘話がNHKハートネットTVに!

このBL出版の絵本、

「けんちゃんのもみの木」

生まれた経緯が、

2022年1月18日19日の2夜連続で

NHKのEテレ「ハートネットTV」

放送されるそう!

ハートネットTVは、この時もだけれど

私たちが普段見逃している

大切なことに対する気付きを

与えてくれる良い番組…

今回も是非、見ないと!!

作家の柳田邦男さん、

妻で絵本作家のいせひでこさん、

そして美谷島邦子さんを繋いだ

御巣鷹山の慰霊登山。

最近では東日本大震災のご遺族の方々や

さまざまな悲しみをかかえた方々も

一緒に参加されて、御巣鷹山は

たくさんの人の祈りを包む

やさしい山になっている

(絵本あとがきより)

…みたい。

どこまでも命と真摯に向き合う

美谷島邦子さんの言葉が

胸に響くわ…。

悲しみを知っている人っていうのは、心がこう、幾重にも幾重にもその悲しみを重ねて歴史のようになっていく。(中略)

悲しむことはいけないんだよっていうようなことを外して、悲しみの中でこそ人はつながれるので、その理解が深まったときに初めて人への優しさもわかるんだよねって、今は思っています。

出典:NHK読むらじる

どんなに月日が流れても

悲しみを消し去ることは

決して出来ないけれど、

さまよい続けた心が

光を取り戻すプロセスを見て、

人ってやっぱり凄いなぁ、と感じるのね。

悲しむことは、愛すること…とは

同じく美谷島邦子さんの言葉。

私たちには計り知れない悲しみと

向き合ってこられた美谷島さん…

その結晶とも言えるこの絵本が

どのようにして生まれたのかは

更に知りたいところ!

この番組は見逃せないわね。

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まとめ

1985年8月12日。

35年以上の月日は永く、

人々の記憶から薄れつつあり、

知らない人たちも増えてきたけれど、

こんな悲しい出来事は

繰り返しては絶対いけないと

親になって改めて思うのね。

2021年11月には羽田空港で

航空会社の社員らに、

空の安全の大切さを伝える

講演会を行った美谷島邦子さん。

その心のそばにはきっと

健くんも寄り添っていたことでしょうね。

絵本から滲み出る悲しみと慈しみ、

そして尽きることのない母子の愛…

「今、ここで生きている」という

当たり前のようで、

実は全く当たり前ではない事実を

噛みしめながら、

息子が嫌がるその時まで

小さな手を繋いでいたいと思ったアフロよ。

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