目次
4.万波誠医師の弟医師・廉介氏
この事件のもう一人の主役が
万波医師の6才下の弟で
医師の万波康介医師。
出典:松原徳洲会病院
当時、岡山市の
岡山協立病院に勤務していた
万波康介医師は、
非常勤医師として
宇和島徳洲会病院で3例、
私立宇和島病院で2例、
呉共済病院で4例の
摘出手術の執刀を担当。
兄と共に
「これは一つの臓器移植の方法になっていく」
という信念で、
社会の非難に立ち向かって
おられたみたい。
腎臓の手術というのは
とてもデリケートなのね。
体内で腫瘍だけ取る手術は、
後での出血など危険が伴い
技術的にも難しいとのこと。
摘出して腫瘍を取り除き、
患者の体に戻すには十時間以上かかり、
患者に大きな負担となる・・・
もう片方の腎臓が機能していれば、
摘出するのが最も簡単で
患者への負担も軽い。
そして、そのまま
捨てられる腎臓ならば、
修復して再利用し
透析患者さんの腎移植に使うのが
一番有効なのではないか?
というのが、
お二人を始めとする
「瀬戸内グループ」の考え。
これが問題をはらんでいることは
万波誠さんも康介さんも
分かっていたご様子。
だから、事件発覚後は
問題を全部公表し、
社会の判断に委ねたみたい。
その判断が今
どのような結果に繫がっているのかも
NHK「ノーナレ」で
見ていきたいところね。
5.万波誠医師の病院と現在
万波誠医師は、現在も
事件の舞台ともなった
愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院
泌尿器科に勤務されて
おられるとのこと。
泌尿器科の万波誠先生(副院長)は76歳ですが、
バリバリの現役で、
腎移植を毎週のように行われています。
また、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の
患者さんを障害者病棟で診たり、
地域との交流を行う
さまざまな試みを実行したりしています。
(2016年11月21日徳洲新聞 宇和島徳洲会病院院長)
出典:徳洲会グループ
徳洲会は現在
日本最大の民間病院グループとして
日本の医療界を牽引している
グループのひとつね。
医療・福祉施設として、
北海道から沖縄まで病院71を含む
300以上の施設を展開。
その一つである
宇和島徳洲会病院は
2004年4月に開設された
病床数300床ということで
宇和島市では
市立宇和島病院に次ぐ規模の
総合診療の大病院。
おそらく今もこちらで
「病気腎移植」の臨床研究を
行われているようね。
【診療科】
内科,神経内科,消化器内科,循環器内科,外科,整形外科
泌尿器科,婦人科,リハビリテーション科,放射線科,麻酔科
〒798-0003
愛媛県宇和島市住吉町二丁目6番24号
TEL 0895-22-2811(代表)
FAX 0895-22-2777(代表)
そして問題となった
「病気修復腎移植」は
2017年に厚生労働省の
審査部会によって
条件付きで先進医療として承認されているの。
当時は「人体実験」などと
凄く叩かれた万波誠医師。
臓器提供者が極端に少ない
現状を打破するには
必要な選択肢として、
真っ先に切り込んでいかれたように
個人的には感じるわ。
何が「正義」かなんて
時代によって簡単に
変わってしまうのが
怖いところでもあるけれどね。
万波誠医師は、その結果を受け
今回の結果が、腎臓を提供してくれる
がん患者の増加につながれば、
移植を待つ患者にとって大きな意味がある
と喜ばれたとのこと。
「臨床」に立って
患者に寄り添ってこられたからこそ
感じてきた現実の問題に、
大きな進展があったことは
すごく嬉しいとは思う。
でも、自分がやり玉に
挙げられたことについては
コメントされていないところに、
自分以上に患者さんのことを
考えていると感じるのは
アフロだけかしら?
2018.8.4.追記
この一連の事件の流れを
「えひめ移植者の会」の会長
野村正良さんをモデルとした主人公の目線で
小説として描かれた作品、
「小説・修復腎移植」という本を
紹介して頂きました。
出典:Amazon
患者さんの視点から書かれたこの小説は
五感を伴う臨場感をもって、
この問題の根深さ・緊張感や
万波医師の「人」としての凄さが
伝わってきます。
自然体で全然偉そうじゃないんだよね。
そこがまた人間的懐の大きさを
表しているんだよね。。
こんな医師が、まだ
日本におられるんだねー(*T^T)
全部読み終えたらまた追記予定ですが、
この事件を、そして万波医師を、
もっと知りたいと思ったら、
是非ぜひご一読くださいませ!
【追記】
たくさんの人々の命と心を
救ってこられた万波誠先生が、
2022年10月14日に岡山県備前市の病院で
お亡くなりになっていたことが分かりました。
享年81歳。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
まとめ
いかがだったかしら?
宇和島病気修復腎移植の
万波誠医師。
社会の風潮で一方的に
「悪」と決めつけられていた
万波誠医師。
報道や集団心理の怖さを感じる
事件でもあったわね。
激しい批判を受けた
この事件だけど、
「もし、自分が腎移植を待つ
透析患者だったら」と思うと
違う見方が出来たかも。
だから当事者である患者さん達は
万波誠医師をすごく擁護したんでしょうね。
マニュアル通りの無難な処置を
してもらうのと
どちらが良いのか・・・
難しいところではあるけれど、
「どうしたらこの患者さんは
幸せになれるだろうか?」と
考えてくれる
こういう医師に出会えることは
患者としては幸せなんじゃないかな
って思ったアフロでした。
「医は仁術」…赤ひげ先生として
万波先生のようにベトナムで働く
眼科医の先生もいるので、
良かったらこちらも見てみてね!
また女性や人生の再出発を支援する
素敵なドクターといえばコチラも!
今日も最後まで読んでくれて
ありがとうねー!
コメント
社会啓発のために、すばらしい内容のまとめができています。
私自身、この問題にライターとして、少なからずかかわってきました。
腎臓移植については2冊出版していますが、
とくに、「小説修復腎移植」(本の泉社)に、患者の立場から、野村正良さんを主人公にして、移植への理解を求める会の取り組みを時系列に書きこんでおります。お送りすればよいのですが、アマゾンで求めることができます。よろしければご一読下さい。
青山淳平
青山淳平さま
コメント、ありがとうございます。
拙い文章に、青山さんのような立派な方からメッセージを頂けたことに、今はただ恐縮するばかりです。
早速、ご著書のAmazon・Kindleサンプル版を拝読致しました。
この記事を書くときは外からの視点で見ていた内容が、登場人物に感情移入することで、内からの臨場感を持って体験することができました。
改めて万波医師のすごさ、そして、この病を抱える人々の苦悩に、心が震えました。
今、色んな思いが渦巻き、全編を読みたいと考えています。
現代医療…そして社会の閉塞感に悲しくなることもあり、子育てに不安を覚えることもありますが、このような生き様を見せてくれる人、そして紹介してくれる人の存在に、「明るい未来は選択できる」と勇気付けられます。
万波医師のこと、そして、この本のこと…知ることが出来て、本当に良かったです。
ありがとうございます。